はじめに

こんにちは。クラウドインテグレーション事業部の川本です。

先日、幕張メッセで開催された「AWS Summit Japan 2025」に参加してきました。数あるセッションの中でも特に印象深かったのが、「スペシャルセッション ビルダーのための AWS テクノロジー:その深化と進化」です。

本稿では、私たちが普段利用しているAWSサービスの根幹を支えるAmazon EC2 インスタンス、とりわけ「AWS Nitro System」の進化が、いかにAWS全体のサービスを向上させているか、その興味深い関係性についてご紹介したいと思います。

S3 のアーキテクチャから見えてくるEC2の重要性

高い耐久性とスケーラビリティで知られるAmazon S3は、実はその安定したサービスの裏側では、Amazon EC2 インスタンスが稼働しています。身近なサービスの裏側で、このような大規模な仕組みが動いているのは面白いですよね。

今回のサミットでは、その内部構造の一端が示唆される、非常に分かりやすい図が公開されました。

全体を制御する「HEAD NODE EC2 INSTANCE」はもちろん可用性も考慮されています。そして、各ストレージノードに搭載され、パフォーマンスと効率を最大化する上で重要な鍵を握るのが、「NITRO」です。

パフォーマンスを最大化する立役者「AWS Nitro System」

「AWS Nitro System」とは、一言でいえば、Amazon EC2インスタンスのパフォーマンスを最適化するための基盤技術です。

参考:https://aws.amazon.com/jp/ec2/nitro/

その最大の特徴は、従来ホストサーバーのCPUが行っていたネットワークやストレージの管理といった付随的な処理を、専用のハードウェアにオフロード(肩代わり)させる点にあります。いわば、Amazon EC2インスタンスを本来の業務に専念させてくれる、優秀なアシスタントのような存在と言えるでしょう。

これにより、EC2インスタンスはCPUの能力を最大限に活用でき、仮想サーバーでありながらベアメタルに近いパフォーマンスを発揮できるのです。

AWS Nitro Systemがもたらす主な利点は以下の通りです。

  • 高速なストレージI/O: 専用ハードウェアがストレージアクセスを担い、高速な読み書きを実現。
  • 効率的なネットワーク: ネットワーク処理をオフロードし、高スループットで低遅延な通信を確保。
  • 堅牢なセキュリティ: ハードウェアレベルでの分離により、システム全体のセキュリティを強化。

このように、Amazon EC2インスタンス自体の性能向上はもちろんですが、Amazon S3のようなサービスにおいても、AWS Nitro Systemがそのパフォーマンスと信頼性を根底から支えているわけですね。

EC2の進化は、AWS全体の進化につながる

このNitro Systemによる恩恵は、Amazon S3だけに留まりません。私たちが普段よく使う便利なマネージドサービスも、その多くが裏側でEC2インスタンスを利用していると考えられます。

つまり、Amazon EC2インスタンス とその基盤であるAWS Nitro Systemが進化し続けることで、AWSプラットフォーム全体のサービスレベルが向上していくのです。この相乗効果は、AWSの大きな強みの一つだと感じます。

まとめ

AWS Summitでは、AIやサーバーレスといった華やかなテーマに注目が集まりがちですが、その裏側でサービス全体をどっしりと支えているEC2とNitro Systemのような基盤技術の進化こそ、AWSの本当の強さなのだと改めて実感させられました。

日常的に使うサービスの裏側にある、こうした高度で奥深い技術の進化に、今後も一人の技術者として注目していきたいと思います。