はじめに

エンタープライズクラウド事業部の磯部です。
10/13~10/16にラスベガスにかけて開催された、Oracle AI World 2025に参加してきました。
本ブログでは、10/16に行われた「Accelerate Your Cash Inflow with Embedded Agents」のセッション内容について、ご紹介します。

概要

本セッションでは、エンタープライズAIエージェントを活用し、クレジット・トゥ・キャッシュプロセスをどのように変革し、企業の現金流入(キャッシュインフロー)を加速させるかについて、具体的な事例が紹介されました。

公式サイトから引用

Discover how agentic finance can redefine touchless cash processing. This session explores how embedded AI agents can transform billing and cash inflow—by helping eliminate friction, surface insights, and accelerate results. See how Document IO is designed to format and deliver invoices to customer preferences while interpreting remittance advice, bank statements, and lockbox files to apply cash continuously. With less manual effort, finance teams focus on strategy—guided by agents that can flag anomalies, revenue leakage risks, and cash acceleration opportunities. Explore key innovations, agent configurations, and how to prepare for autonomous financial operations.

(DeepL翻訳)

エージェント型ファイナンスが非接触型現金処理を再定義する方法を発見してください。本セッションでは、組み込み型AIエージェントが摩擦の解消、インサイトの可視化、結果の加速を通じて、請求処理と現金流入をいかに変革するかを探ります。Document IOが、顧客の好みに合わせて請求書をフォーマット・配信する設計でありながら、送金通知書・銀行明細書・ロックボックスファイルを解釈して継続的に現金を適用する仕組みをご覧ください。手作業を減らすことで、財務チームは戦略に集中できます。エージェントが異常・収益漏出リスク・現金加速機会を指摘し、導くのです。主要なイノベーション、エージェント設定、自律的な財務業務への準備方法を探求しましょう。

プロセス変革の成功事例とAI戦略

Oracleは10,000社以上のERP顧客を持ち、AI機能の試行顧客はすでに1,000社を超えています。技術の導入だけでなく、ビジネスプロセスの改善が成功の鍵であると強調されました

環境・産業サービスを提供するClean Harbors社は、Oracleの「Order to Cash」(受注から現金化)へ移行することでプロセスを変革しました。その結果、未識別・未消込現金の歴史的な低水準を達成し、60日以上の延滞残高を大幅に削減する成果を上げています。

AIエージェントによる現金流入の加速

Oracleは、AIとLLM(大規模言語モデル)を以下の3分野のプロセス深部に組み込み、自動化と効率化を図ります。

請求(Billing)の精度向上

顧客に正しい金額を適切なタイミングで請求し、回収の可能性を最大化します。

  • Document IOエージェント: 文書の取り込みだけでなく、請求書を顧客へ配信する(Outbound)機能もサポートし、PDFや紙の請求書のデザインと精度向上に役立ちます。
  • 統合請求(Consolidated Billings): サブスクリプション、物品、プロジェクトマイルストーンなど、複数のソースからの請求を、顧客の支払システムで処理しやすい単一の請求書に統合する機能が導入されます。(間もなく提供予定)
  • 請求前検証: 高額な請求書が顧客に送付される前に、ユーザーが正確性をチェック・検証するための介入オプションを提供します。

現金処理(Cash Processing)の効率化

現金処理は、「情報取り込み(Ingestion)」「マッチング(Matching)」「例外処理(Resolving)」の3段階でAIとLLMが活用されます。

  • 取り込みと解析: Document IOエージェントが、銀行取引明細書や顧客からの送金アドバイスなど、多様な情報ソースから送金情報を解析し取り込みます。
  • LLMとベクタ化によるマッチング: オープンな請求書情報がベクタ形式でデータベースに保存され、このベクタ情報と送金情報を用いて、送金と請求書が迅速かつ高精度で照合されます。
  • エージェントによる洞察: エージェントはマッチングの確信度を含む洞察を提供し、人間はその洞察に基づいて例外的な取引の処理や、適切な行動を決定します。

予測的キャッシュフロー管理

Predictive Cash Forecasting (PCF) は、AIエージェントを活用し、日次、週次、月次での継続的なローリング予測を提供します。

PCFはOracleでも提供されている、資金予測機能のことを指します。

  • データの自動統合: 売掛金、買掛金、現金管理のデータを自動で取り込み、将来の現金のポジションやシナリオを生成します。
  • リアルタイム警告: 予測からの逸脱が発生した場合、リアルタイムでユーザーに警告を出し、タイムリーなアクションを可能にします。
  • スマートドライバー: 予測は、過去の顧客の支払いパターンなどの「スマートドライバー」に基づいており、顧客別や週別など、個別のトランザクションレベルまで詳細を追跡可能です。

まとめ

このセッションに参加して、AIが単に作業を早くするのみではなく、延滞後の対応を延滞前に準備してくれる点に惹かれました。

「いつ、誰に、どんなアクションを取るべきか」をエージェントが教えてくれることで、煩雑な手作業から解放され、本当に必要な判断や作業だけに集中できるのは非常に素晴らしいと感じました。

また、AIエージェントが予測まで担ってくれることで、財務チームが一から調査する手間が省け、全て受け身で出来るようなフローが整っている環境があるのもいいなと感じました!

最後までお読みいただきありがとうございました!