こんにちは、DX開発事業部の山中です。Google Cloud Next ’26 に現地参加してました!
Google Cloud の YouTube ライブストリーム「A closer look at Agents CLI」の 19 分インタビューを整理したレポートです。ホスト Jason Davenport さん(Google Cloud)が、AI Product Manager の Shubham Saboo さん(Google Cloud)に、今回の開発者向けローンチのハイライトを聞くトーク番組形式でした。動画: YouTube

今回のローンチの全体像
Shubham さんが挙げられた 3 つの目玉と、クロージングで強調された Long-Running 系を合わせて整理します。
| テーマ | ポイント | 位置付け |
|---|---|---|
| Agent CLI | Build / Scale / Govern / Optimize の全ライフサイクルの入口 | Gemini CLI・Claude Code・Codex など好きなコーディングエージェントにアドオン |
| Skills | AI 業界の generic standard。エージェントがランタイムにスキルを選択 | 巨大システムプロンプト(数百行)からの脱却 |
| ADK 2.0 | グラフベースワークフローで決定性(determinism)を実現 | 金融・保険など規制業界でのエージェント運用を想定 |
| Long-Running Agents | 最大 7 日間の状態保持 | Agent Runtime で提供 |
| Ambient / Resume Agents | イベント駆動で起動、ポーズ&再開対応 | ネットワーク断や人間承認待ち(コーヒーブレイク)に耐える |
| Agent Garden | 事前構築テンプレート集(Sequential / Loop / Parallel ほか) | マルチエージェントパターンの出発点 |
Agent CLI:入口としての設計
Agent CLI は「自分好みのコーディングエージェントを ADK エキスパート化する」方向の CLI です。グローバルインストールするだけで、Gemini CLI・Claude Code・Codex など手元のエージェントが Agent Platform / ADK の context を持って動くようになります。
uvx google-agents-cli setup
GitHub: github.com/google/agents-cli

「I want to build XYZ agents」のように自然言語で指示を出せば、scaffolding・ビルド・デプロイ・eval・observability まで進められます。評価方法を知りたければ「I want to evaluate my agents」と聞けば Agent Platform の評価オプションが案内される、というように「作りながら学ぶ」スタイルが前提です。
Skills:巨大プロンプトからの卒業
Skills は、これまで single system prompt に詰め込んでいたエージェントの capability を、モジュール化された単位に分割する考え方です。エージェントがランタイムに「今必要なスキルはどれか」を自分で選びます。
Shubham さんが強調されていたのは「Skills は Google Cloud 独自ではなく、業界全体の generic standard」という点で、各 AI ベンダーが採用しつつある共通規格とのこと。Agent CLI 自体も、Agent Platform に関わる一連のスキル群を束ねる形で作られています。
ADK 2.0:グラフで determinism を取り戻す
ADK 2.0 の目玉がグラフベースワークフローです。モチベーションは「LLM は non-deterministic なので本番の規制業務に持ち込みづらい」という課題への回答です。
グラフ構造でルーティングとタスク実行順を明示的に制御できるため、決めうちで良い箇所は決定的ロジックとして埋め込み、柔軟性が必要な箇所だけ LLM に委ねるハイブリッド設計が可能になります。適用例として挙げられていたのは、金融サービスや保険金請求処理のような規制業界の決定的ワークフローです。「小さな弾薬で済むところに大砲を持ち込まない」という表現に、設計思想が端的に表れていました。
Long-Running / Ambient / Resume:本番運用を支える 3 セット
Agent Runtime 上で、エージェントの状態が 最大 7 日間 保持されるようになりました。2 日前の作業を覚えたまま続きを走れる長さです。本番で機能させるための追加機能が次の 2 つです。
- Ambient Agents: テキスト・スケジュール・プロンプト・イベント(Pub/Sub や Eventarc)で自律的に起動
- Resume Agents: パラメータひとつで「一時停止した場所から再開」が可能。ネットワーク断や human-in-the-loop の承認待ちに対応
Jason さんが「みんな安心してコーヒーブレイクに行けますね」と冗談を言われていて、人間承認が 6 時間後でも 2 日後でも、エージェント側はポーズ状態から処理を続けられる、というユースケースが紹介されました。保険金請求処理のような「人間承認を挟む長時間ワークフロー」が本番対応できる土台が整った印象です。
Agent Garden:パターンの出発点
Agent Garden は、事前構築されたマルチエージェントテンプレートのライブラリです。ADK の基本パターンは Sequential / Loop / Parallel の 3 種類で、そこから human-in-the-loop・coordinator-dispatcher・iterative refinement といった高度なパターンに発展していきます。パターン名を暗記してから適用するのではなく、課題をプレーンな英語で書いて Agent CLI と対話しながら最適なパターンを選んでもらう、という進め方が推奨されていました。
キーメッセージ:「Demo から Production へ」
動画全体を通じて繰り返されていたのが「from demo to production that can run reliably and solve real problems」というメッセージです。長時間稼働・イベント駆動・人間承認・決定性といった、本番運用に必要な要素がひと通り揃ってきたフェーズ、という位置付けだと感じました。Shubham さんの「We are in the phase of building agents with agents」という言葉が象徴的で、設計・実装・評価までエージェントとの対話で進める世界観が前提になっています。
まとめ
- Agent CLI は、普段使いのコーディングエージェントに ADK / Agent Platform の context を与える「入口」
- Skills は業界共通のモジュール化標準で、巨大プロンプトを置き換える
- ADK 2.0 のグラフベースワークフローで、規制業界に必要な決定性を確保
- Long-Running / Ambient / Resume Agents で、7 日間の状態保持と人間承認待ち対応の本番運用土台が整った
「デモから本番へ」の流れは、公式リポジトリの CI/CD パイプライン図にも綺麗に表現されていました。

まずは uvx google-agents-cli setup で手元に入れて、Agent Garden のテンプレートから触ってみるのが近道だと思います。