はじめに
「Oracle AI World Tour Tokyo 2026」のセッションレポートをお届けします。
今回は、AWSとOracleの歴史的なパートナーシップによって誕生した新サービスに関するセッション「ODB@AWS: Oracle Database on AWSで切り拓くクラウド移行の新たな選択肢」についてご紹介します。
クラウド移行における大きな壁であった「ミッションクリティカルなOracle Databaseの移行先」に対する新たな最適解として注目を集めていたセッションです。

セッション概要
本セッションでは、Oracle Database@AWSが生まれた背景から、提供されるサービスと技術的なアーキテクチャ、そしてお客様にもたらされる具体的なメリットまでが解説されました。
特に、Fortune 100企業の90%以上がAWSを利用し、86%がOracle Exadata上で稼働しているという事実が示され、「AWSかOracleか」ではなく「両方をどう最適に組み合わせるか」が求められている時代背景が強調されていました。

サービス概要
「Oracle Database@AWS」は、OracleのデータベーステクノロジーをAWSのエコシステムに直接組み込む包括的なソリューションです。
提供される主なサービスは以下の3つです。
1. Oracle Exadata Database Cloud Service (ExaDB-D):お客様とOracleで共同管理するサービス。
2. Oracle Autonomous Database Service (ADB-D):Oracleが運用まで自動化するフルマネージドサービス。
3. Zero Data Loss Autonomous Recovery Service (ZRCV):損失ゼロでの確実なバックアップ・リカバリを実現するサービス。

東京リージョンでのGA
これらを稼働させるインフラとして、最新の専用ハードウェアがAWSのアベイラビリティゾーン(AZ)内に直接展開されます。東京リージョンではすでに利用可能となっており、日本国内にデータを置いたまますぐに利用を開始できます。また、大阪リージョンも計画中であり、将来的には東京・大阪間での国内DR(災害対策)構成が実現できるようになります。
3つのキーワード「Migrate, Unify, Simplify」
技術的・運用的なメリットとして、以下の3つのキーワードが紹介されました。
- Migrate(移行)
既存のオンプレミスのExadataやRACのワークロードを、アーキテクチャを書き換えることなくそのままAWSへ移行できます。これにより、互換性やパフォーマンスの懸念を払拭し、高速なリフト&シフトが可能になります。 - Unify(統合)
AWSリージョン内の専用区画にインフラが展開され、AWSのVPCと直接「ODB peering」で接続されます。これにより、Amazon Bedrockによる生成AI活用やAWS Lambda、Amazon S3への自動バックアップなど、AWSネイティブサービスと極めて低遅延かつシームレスに連携できます。 - Simplify(簡素化)
サービスの調達や請求はAWS Marketplaceを通じて行われ、AWSのプロセスに完全に統合されます。AWSの既存コミットメントの活用やOracle Support Rewardsの適用対象にもなるため、コスト管理の面でも大きなメリットがあります。
エンタープライズレベルの可用性と移行支援
ミッションクリティカルなシステムで最も重視される可用性についても、オラクルの最高レベルの可用性アーキテクチャ(MAAのGold構成)がAWS上でサポートされます。同一リージョン内の別AZへのフェイルオーバー構成や、別リージョンへのData Guardを用いたDRサイト構築が可能で、オンプレミス同等のエンタープライズグレードの可用性が実現されます。
さらに、移行に向けたハードルを下げるため、AWSからの資金提供による無償の「最適化・移行アセスメント(OLA)」が提供されていることも紹介されました。コスト試算やアーキテクチャ設計を統合されたレポートとして提供してくれる強力な支援プログラムです。

まとめ
本セッションを通じて、Oracle Database@AWSは単にクラウド間をネットワークで繋いだだけのものではなく、インフラレベルで「真の統合」を果たしたサービスであることがよく理解できました。
長年オンプレミスのOracle環境を運用しており、クラウド移行のハードルを感じていたお客様にとって、AWSの革新的なサービス(特にAIやアナリティクス)とOracleの圧倒的な堅牢性・パフォーマンスを妥協なく両立できるこのソリューションは、まさに「新たな選択肢」として強力な武器になるはずです。今後の国内導入事例の広がりが非常に楽しみになるセッションでした。