「AWS研修」の講師インタビュー後編です。
「準備、進行」にフォーカスした前編に引き続き、後編の今回は入社2年目の社員が実際に担当した技術研修について特にフィーチャーし、お伝えしていきます。
今回話を聞いたのはこの3名です。

(左上から)

柏田奈々子(担当パート:Apache&PHPセッション)
名古屋事業部 名古屋事業部 第一セクション

吉川翔悟(担当パート:VPCセッション、アカウント周りの設定)
クラウドインテグレーション事業部 東京第一構築セクション

鈴木健斗(担当パート:実技テスト)
クラウドインテグレーション事業部 東京第四構築セクション

ハンズオン形式で実践的なセッションを実施

研修お疲れさまでした!皆さんには、技術研修のことを中心にお伺いしたいと思うので、まずはそれぞれ担当されたセッションについて教えてください。


私は、Apache&PHPセッションを担当しました。各サービスの通信経路、各リソースの設定によるつながりを確認してもらい、ネットワークを正しくつなぐことができたら表示される簡易サイトを用意しました。


私は、VPCセッションを担当しました。主に後のEC2やRDSの場面で使う土台となるネットワーク部分をつくるセッションです。


私は、最終日の実技テストの章を担当しました。具体的には、1日目に学んだ内容を生かして実際にWebシステムを自分たちでつくってもらうという内容です。


それぞれ具体的には、どのようにセッションをすすめたのですか。


今年の新入社員は私たちのときと異なり事前にAWS公式の研修を受講しており、ある程度の知識の土台があったため、私の担当セッション含めほとんどのセッションで座学よりもハンズオンをメインにしました。まずサービスごとの説明をしてから、あらかじめ配布しておいた手順書を見ながらつくっていってもらい、最後にQ&Aのコーナーを設けました。


手順書を配布していたのはなぜですか。


先ほど言ったように今年の新入社員はAWS公式の研修を受けていたこともあり、研修期間が2日間と以前よりも短縮されました。そのため、限られた時間の中で効率的に研修をすすめる必要があったからです。手順書だけでなく、柏田さんが作成した単語帳も役だったのではないかと思っています。


柏田さん、どういった意図で単語帳をつくったのですか?


各サービス説明、ネットワーク周りの説明、IPアドレスなどの説明、リソースの説明など、時間がなくて説明しきれない部分を補うような単語帳をつくりました。昨年もあったのですが、今年は特にハンズオン中心で座学の時間が少なかったので、手厚い内容にしました。


柏田さん担当のセッションについても教えてください。


私が担当したApache&PHPセッションでは、通信経路の説明をした上で、各自のパソコンでコマンドを打っていってもらいました。ただ、私たちからは各自の画面が見えないのは大変でした。うまくいかない場合はエラーの画面を送ってもらって間違いを見つけて指摘し、それでもわからない場合はブレイクアウトルームで個別に対応しました。


個別に対応していくのは大変そうですね。


私はメインで講義をしていたので、他の同期メンバーに対応してもらっていました。きめ細かなサポートのおかげで、問題なく進行できたのではないかと思います。このような研修の場でエラーを出すと印象に残り、業務に入ったとき「あのときのエラーを出さないようにしよう」と気をつけられるので、意味のある研修になったと思います。


鈴木さんの実技テストについてはどのようにすすめましたか。


昨年自分たちが受けたテストを再分析し、「未経験では難しいな」と思う部分は分解した設問にしたり、「これは習得してほしい」という要素を付け加えたりして実技テストを構成しました。


結果はどうでしたか。


抑えてほしい箇所はほとんどの人がクリアできていて、期待以上だったと思っています。
実は、実技テストの他に実施する小テストに取り組んでもらう順番を昨年とは変えたんです。昨年は、実技テストの後に小テストがあったのですが、今年は小テストを実技テストの前に実施しました。小テストはネットワーク周りの基礎的な内容でしたので、基礎を小テストで定着させた上で実技テストに挑んでもらえたのが、良い結果につながったのではないかなと思っています

昨年の受講経験を生かして工夫したセッション内容

その他に、昨年自分たちが研修を受けたことを踏まえ、講義において工夫した点はありましたか。


昨年は先輩方のPCがMacなのに新卒社員のPCはWindowsだったため、コマンドが違うことがあり苦労しました。その点、今年は手順書に「Windowsの場合はこうしましょう」などと記して配布しておけたのと、講師がMacもWindowsもどちらの使用者もいたので、どちらのPCの受講者にも対応できたのはよかったなと思っています。
講義内容については昨年自分が難しいと感じていた点は、より丁寧にレクチャーするように心がけました。また、昨年の自分を振り返るとコマンドを打つことに意識がいってしまっていたので、事前に「このような経路を構築していきますよ」というのを強調して説明することを心がけ、通信経路にも意識が向くようにしました。


一年前、研修を受けてもネットワーク周りのことは理解しきれない部分があったので、図で見た方が流れを理解しやすいと考え、構成図のセッション引き続き、私のセッションでも構成図でネットワークのトラフィックについての説明を加えました。


昨年に引き続き、受講生をグループ分けして、それぞれのグループに講師がつくという担当制にしました。誰が誰を担当するという役割分担によって、メインの講義を中断することなくスムーズにすすめられたのではないかと思っています。
また今年は新たに特定のグループを担当しないフリーの役割をつくり、手が空いていないグループのフォローにまわることができたので、よりスムーズにすすめられたのではないかと思っています。また、セクションの終わりごとにCloud Formationというツールでリソースをつくって、全員の足並みをそろえました。これは昨年も先輩方がされていたことを私たちも踏襲したのですが、後ろのセッションをスムーズにすすめるためにもとても有効でした。

リモート、理解度……。それぞれの苦労

では、セッションをすすめる上で苦労したことはありましたか。


リモート研修のため、直接の反応がやはりリアルよりは感じられず、受講している新入社員たちが本当に理解できているかどうかが把握しきれなかったところは苦労しました。その点はブレイクアウトルームによって少人数で話をする機会を設けて、フォローするようにしました。


自分自身がAWS内の動きを完璧に理解できていたわけではなかったので、人に説明できるレベルまで勉強するのが大変でした。同期にわからない部分を教えてもらったり、ドキュメントで独学したりと時間を割きました。苦労はしましたが、当日質問にもうまく答えられましたし、自分自身の理解度を深めることができてよかったです。

自分自身の成長も感じられた経験。同期との絆も

セッションや研修全体を終えての感想を教えてください。


最初に講師を任命されたときは自分に声がかかると思っていなかったので驚きましたが、今まで先輩方にいろいろと教わってきて成長できたので、私も新卒社員の人の役に立ちたいと思い取り組みました。実際に取り組んでみると、AWSについて深く知るいい機会になったと感じます。人に教える立場になると「もっと勉強しなければ」というモチベーションが湧いてきましたし、昨年の自分を振り返って初心に戻ることもできました。
そしてなにより、同期には本当に助けてもらいました。事前準備で誤字を指摘してもらったり、本番のセッション中に想定外のことが起こったときも同期が助けてくれたりしました。私は名古屋事業部なので普段関わることの少ない東京や大阪の同期がどんな仕事をしているのか知ることができたこともよかったですし、さまざまな拠点の同期とひとつのことをやり遂げられたことをうれしく思います。


講師に任命されたときは楽しみ半分、不安半分でした。私はもともと人前でのプレゼンが苦手だったので、そんな私に務まるのかなという思いがありました。ですが、同期と準備をすすめたり、自分で勉強をしていく中で「どれだけできるか」ということに集中できるようになりました。結果、当日はとても楽しめました。この研修のおかげで、人前でのプレゼンへのハードルが下がり、あまり緊張しなくなったのは大きな成長だと思います。


半年がかりのプロジェクトをやり遂げられた達成感があります。はじめは、こういう機会でもないと新卒社員と関わる機会もないですし、面白そうだと感じました。その反面、昨年の先輩方の講義が素晴らしかったので、「それほどの知識量が自分にあるのかな」と不安もありました。ただ、その先輩方から「よくできていたよ」と声をかけてもらえましたし、先輩方に極力頼らずに同期一丸となって自主的にプロジェクトをすすめられたのはよかったと思っています。
また、人に教えるということを通して自分の知らない部分を埋められたのではないかなと。先輩方に勝ったとは思えないのですが、後輩たちにそう憧れられるような存在になっていられたらいいなと思います。

「楽しんで、自分たちにしかできない研修をつくって」

それでは最後に、来年講師を務める新卒社員へのメッセージをお願いします。


最初は不安なことがたくさんあると思いますが、準備期間でも本番でも同期との助け合いによりやり遂げられると思うので、自分が後悔しないように講義を行ってもらえたらと思います。今年受けた研修のことを来年に改めて思い出してもらって、足りなかった部分を補って、よりいい研修にしてほしいです。


代によってメンバーの特色や性格が違うと思うので、その色を生かして、自分たちにしかできない研修をつくりあげてもらえたらいいなと思います。柏田さんが言うとおり、ひとりで溜め込まずに同期を頼りながら、それぞれのタスクや責任を持って行うことで、楽しくワイワイとやってほしいですね。


講師をすることによって自分の知識をアップデートできたり、成長できたりすると思いますので、ぜひ前向きにチャレンジしてほしいです。そして、同期のチームワークを高めて楽しんでほしいです!

編集後記

前編・後編にわたりアイレットのAWS研修について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

今年の新卒社員は、6月より本配属となりました。
各配属先でパワーアップした新卒社員が、来年はどんなAWS研修を作ってくれるのか今から楽しみです!

今後もアイレットの若手社員の活躍にご期待ください!

それでは最後までお読みくださりありがとうございました。