概要

2023 年 12 月 7 日に、 AWS re:Invent 2023 re:Cap presented by iret というイベントを開催いたしました。

re:Invent の re:Cap イベントを外部の方を含めて大々的に行うことは、 アイレット株式会社 (以下、 iret) としては初めての挑戦となります。

本イベントは、ラスベガスで 2023 年 11 月 27 日から 12 月 1 日 にかけて開催された AWS re:Invent の re:Cap イベントで、 iret の社員だけでなく、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 (以下、AWS Japan) や KDDIアジャイル開発センター株式会社 (以下、KAG) からも登壇を頂き、ラスベガスのホットな話題を日本に届けていただきました。

AWS re:Invent は世界最大規模の 学習型 カンファレンスであり、5日間の日程で、基調講演 5、総セッション数 5000+ との圧倒的なセッション数を誇るイベントとなります。

本イベントは、 技術定例グループ で企画・運営を行い、KDDI Digital Divergence Holdings株式会社の協賛のもと、虎ノ門にある KDDI DIGITAL GATE で開催いたしました。

アイレットでは、組織の壁を超えた有志グループで新しいことに挑戦を行っています。

イベント会場について

会場では、ポケットサンド (会社ロゴ入りの特別仕様) や、現地参加者によるお土産が振る舞われました。


広い会場ですが、多くの方に参加いただき、盛況のなか LT にご参加いただきました。

LT について

本イベントでは、5名の方に LT 登壇をいただきました。
多くの方にお話いただいたのは、 Amazon Q の凄さです。

Amazon Q は、re:Invent の発表と同時に AWS Management Console に登場して話題になりました。
Documents 他、多くのソリューションとも連携しているとのことでした。

進行、オープニングとして iret 和田 健一郎さんに進行をいただき、LT を実施しました。

LT の最初に、AWS Japan 尾崎さんから Most Important NEWS として重要な発表をいただきました。
iret は、 SI Partner of the Year – APJ のファイナリストに選出 されました。
ファイナリストの選出は、iret のパートナーとしての実績を評価いただいたものとなります。

各登壇の詳細は以下にまとめます。

尾崎 周也 氏

最初に登壇されたのは、AWS Japan 尾崎 周也 さん。

尾崎さんには、イベントの概要から Keynote のキャッチアップを 20分で発表いただきました。
Keynote は、re:Invent 全体で 5件あり、それぞれが重要な更新や Amazon 役員からのメッセージを世界に向けて発信するものです。

Keynote からキャッチアップする re:Invent として重要な更新についてお話をいただきました。

最初にお話しされたのは、 Peter DeSantis (AWS Senior Vice President) 氏による Keynote の要約についてです。
まずは、サーバーレス、量子コンピューティングから Amazon Aurora Limitless Database を紹介いただきました。

これは、Aurora Serverless の分散処理を行うもので、書き込みトランザクションをスケールしてペタバイト級のデータベースとして利用できるものです。
PostgreSQL 互換のオプションを、東京リージョンでもプレビュー版として利用することが可能です。

続いて、Amazon ElastiCache Serverless について発表いただきました。
ElastiCache は、インメモリデータベースとして広く利用されるものですが、Serverless として簡単に利用することが出来るようになったものです。

Amazon S3 Express One Zone として Amazon S3 の特定用途用の新しい機能も紹介いただきました。

今まで、Amazon S3 は汎用的なストレージサービスとして高可用性や、高耐久性が提供されてきました。
Amazon S3 Express One は、単一アベイラビリティゾーンに限定し、可用性や耐久性を犠牲にするかわりに Standard と比較して最大 10 倍のパフォーマンスと 1 桁ミリ秒のレイテンシーを提供するものです。
機械学習や分析などのワークロードに特化して利用することを想定したものとのことでした。

次に、Adam Selipsky (AWS CEO) の Keynote の紹介をいただきました。
まず、Amazon の顧客志向の考え方として、『Working Backwards』 をご紹介いただきました。
Working Backwards はお客様のニーズに答える Amazon の考え方とのことです。
これに答えるため、NVIDIAAnthropic とのパートナーシップを行うとのことでした。

また、AWS で利用されるプロセッサである Graviton の新バージョン、 Graviton 4 についても発表されました。

生成 AI でも、いくつかのピックアップを紹介いただきました。
まずは、 Agents for Amazon Bedrock を紹介いただきました。
AWS の Betrock タスクを生成してくれる Agent とのことで、さまざまなアプリケーションと組み合わせて利用する事ができるとのことです。

また、Guardrails for Amazon Bedrock はユースケースに沿った出力に制限するもので、ユースケースからはみ出すような出力がされないように制御する仕組みとのことでした。

これらより、生成 AI を簡単かつ、安全に利用することが出来るとのことです。

また、Amazon Q についても話があり、汎用 AI によってビジネス上の様々な問題解決を図ることが出来るようになるとのことでした。

企業の保有するデータに基づく信頼された回答や、引用元と出典元の表示、エンタープライズ連携など、企業が利用するための機能が揃っているとのことです。

Dr. Swami の Keynote 要約では、生成 AI に関するコア技術を紹介いただきました。
AWS の生成 AI スタックが 3層から成り立っていることは、おそらく初めて公式に出てきた情報とのことです。

AWS の生成 AI インフラストラクチャとしての Amazon Bedrock、Amazon Q のほか、 PartyRock という誰でも生成 AI アプリを作成して共有する環境が出来たとのことです。

Model evaluation on Amazon Bedrock では、様々な AI 用のモデルを提供しており、適材適所のモデル利用が可能になるとのことでした。

Dr. Werner (Amazon CTO) の Keynote からは、The Frugal Architect を紹介いただきました。

非機能要件としてコストを定めることの重要性のほか、サステナビリティの観点からも、この考え方が必要となる観点とのことです。

Amazon では、細かいサービスメトリクスの取得を行っており、それぞれに Tier 分けを行い管理を行っているとのことでした。

Tier1 に特に多くの投資を行い、顧客体験を向上させるべく改善を行っているとのことです。

アプリケーションの管理を行うツールとして myApplications in the AWS Management Console が発表されており、コストの一元管理が可能となるとのことです。

また、 ​Amazon Inspector CI/CD Container Scanning​ も発表されており、今までの脆弱性スキャンが更に便利になり、かゆいところに手が届くようになったとのことです。

池田 雅彦 さん

iret 池田 雅彦 さんが登壇しました。

この LT では、『学んで楽しむ re:Invent』 として、現地参加の良さを語っていただきました。

iret からは、36名が現地の re:Invent に参加し、イベント当日時点 で 83 件のブログが iret.media で公開されているとのことです。

現地では、多くの日本人参加者とも交流ができたとのことでした。

re:Invent 現地参加のメリットとしては、『世界最大級のイベントで学べるのがメリット!』とのことで、多くのインプットとアウトプットが出来たとのことでした。

顧客側の目線では、グローバルの事例を知り、活用することが出来るのがメリットであり、クラウドに対する Amazon の本気度なども知ることが出来るとのことです。

生成 AI に対する視点では、不可視の透かしを生成に加えることで、昨今問題となっている Deepfake を抑止することが出来るというのが面白かったとのことでした。

また、現地参加でしか体験できないワークショップに参加しており、Amazon Managed block chain のワークショップに参加して、構築したのがとてもためになったとのことです。

多くのエンジニアと繋がれるのが、 re:Invent のメリットとのことです。

玉衛 淳輝 さん

iret 玉衛 淳輝 さんが登壇しました。

この LT で紹介されたのは、『Amazon Aurora Limitless Database の魅力』についてです。

玉衛さんのブログ、 【AWS re:Invent 2023】 Achieving scale with Amazon Aurora Limitless 2023 GA DAT344-NEW の内容をもとに、Amazon Aurora Limitless の凄さをお伝えいただきました。

今まで、Amazon Aurora では簡単に Read Replica (読み取り専用の負荷分散データベース) を作成し、読み取り負荷分散を簡単に行うことが出来ました。
今回のアップデートで、今まで難しかった Writer (書き込み) のスケールアウトを行うことが容易になったとのことです。

裏側の仕組みとしてはシャーディング (複数のデータベースに処理を分散する仕組み) が利用されており、シャードテーブルを用いることでシャーディングが行われるとのことでした。

実際のテーブル構成や、SQL をもとに Amazon Aurora Limitless の機能を紹介いただきました。

詳細については、是非ブログを参照ください。

笹子 義弘 氏

KAG 笹子 義弘 さんに登壇をいただきました。

この LT では、『AWS re:Invent を通じた、全てのエンジニアへの変革』というお話をいただきました。

re:Invent は5日間のイベント開催期間の中で 200ほどの新機能の発表があったとのことです。
笹子さんの担当される開発の分野でも、Amplify (AWS の MBaaS Framework) 製品の中で Amplify Gen2が発表されるなど、多くの発表があったとのことでした。

Amazon Q は、本 LT でも話題になっており、過去の AWS の知見を学習し、AWS Management Console / IDE / ドキュメントでサポートされる Amazon 版の生成 AI アシスタントとして、強い期待を寄せられていました。

特に、Amazon Q によるネットワークトラブルシューティングでは対話式で解決策を検討してくれるとのことで、今まで難しかった分野への期待が寄せられていました。

ほかにも、 CloudWatch の Query 自動生成 では課題を入力することでクエリを自動生成してくれたり、 Console to Code ではコンソールで行った作業を CloudFormation などの IaC に変換してくれるなど、開発者をサポートしてくれる機能が豊富とのことです。

今後の変革では、膨大なドキュメントの調査などが Amazon Q に置き換わり、Amazon Q により AWS の利用がより簡単になるだろうとお話をいただきました。

最後に、今回の re:Invent は『AWS x 生成 AI の始まり』として、強い期待が寄せられました。

re:Invent は、AWS をより深く学べる機会とのことです。

みのるん 氏

KAG 御田 稔(みのるん)さんに登壇を頂きました。

この LT では、『Bedrock & Amazon Q のアップデートまとめ』 として、今までも話題にあった AWS 生成 AI の総括をいただきました。

生成 AI 全体のトレンドを追いかけて、今回の AWS のアップデートと比較する手法でより深く理解する LT をいただきました。

前提知識として知っておきたい考え方は、『RAG』とのことです。
これは、Retrieval Augmented Generation の略語で、検索によって強化されたテキスト生成を指す機能であるとのことです。

今までの生成 AI は、学習時に覚えた事以外は答えてくれないという問題がありました。

この問題を解決するため、RAG を利用して Embedding として生成 AI に新しい知識を埋め込んで利用することが出来るようになるとのことです。

生成 AI に対する注目のアップデートとしては以下のような機能があるとのことです。

  • 基盤モデルの追加
    • Anthropic Claude 2.1 が基盤モデルとして利用可能となり、学習に利用されるトークン数が増えるとともに値下げが行われたとのことです。
  • ファインチューニング
    • ファインチューニング は理想の QA 集を用意するような生成 AI で、事前に用意した QA をもとに回答を行う生成 AI を作成出来るようになったとのことです。
  • 継続的な事前学習
    • 継続的な事前学習機能 がプレビューとなり、企業の情報を学習させることで幅広い学習が可能になったとのことです。
  • Knowledge Bases for Amazon Bedrock
    • Knowledge Bases for Amazon Bedrock は、Amazon S3 に学習に利用したいデータを格納することで、Embedding を自動的に行ってくれる機能とのことです。
  • Agents for Amazon Bedrock
    • Agents for Amazon Bedrock は、生成 AI 用のエージェント機能を AWS Management Console から簡単に生成することが出来る機能とのことです。

最後に、今一番話題の機能として Amazon Q の登場についてお話をいただきました。
Amazon Q は機能群の総称とのことで、複数の機能が含まれているとのことです。

正しい理解のために、機能を覚えてほしいと紹介をいただきました。

  • Amazon Q Business Expert
    • Amazon Q Business Expert は、一般業務用の RAG を簡単に生成して利用することが出来るサービス。
  • Amazon Q AWS Expert

他にも、 PartyRock として GUI のみで生成 AI を作成してシェアできるサービスを紹介いただきました。
こちらは プレビュー版のため、プレビュー期間中は無料で利用出来るとのことです。

現地で、生成 AI の現状について質問する機会を得たとのことで、英語だけでしか利用できないのか? と聞いてみたところ、多言語対応は AWS の最優先課題と認識しているとのことでした。

まとめ

今回の AWS re:Invent 2023 re:Cap presented by iret は、生成 AI と Amazon Aurora Limitless Database の話題がとても注目されていました。

どちらも、今後の市場を変えるようなインパクトのある話題でした。

iret では、SI Partner of the Year – APJ のファイナリストに選出されたように、常に最新技術のキャッチアップと、お客様への貢献を行っています。

『技術と探究心で 今日の「できない」を 明日の「できる」に』という企業パーパスのもと、お客様のビジネスに新しい技術を取り入れています。

クラウドのシステム開発は iret までご相談ください。