ダークパターンの現状については前回の記事をご覧ください。
ダークパターンを理解して誠実なウェブサイト作りを心がけよう【現状編】
この記事では「NDD認定制度」について紹介したいと思います。
NDD認定制度
2025年10月15日、ダークパターン被害の軽減と誠実なウェブデザインの普及を目的に、「NDD(Non-Deceptive Design)認定制度」の正式運用が開始されました。
ダークパターン(※消費者を意図的に誤認・誘導させる不適切なデザイン)を用いない誠実なWebサイトを、第三者が客観的かつ中立的に審査し、基準を満たしたサイトに改ざん防止機能を備えた認定マークを付与する制度です。本制度は、消費者の意思決定の自由を守り、誠実な事業者の努力を「見える化」することで、デジタル社会全体の信頼性と健全性を高めることを目的としています。
審査について
審査の進め方は以下になります。
①ダークパターン対策協会が用意した、「自己審査チェックシート」を使用して事業者側で自己審査
②その後、自己審査に相違がないか認定審査機関で一次審査
③一次審査を通過したら、ダークパターン対策協会にて最終審査
最終審査を通過できれば、認定マークをもらうことができます。
NDD認定の有効期限は1年間であり、10ヶ月過ぎた時点で更新審査の申し込みが可能になります。
もし、一次審査・最終審査で不合格となった場合でも、再審査費用を支払えば再び審査申込ができます。
審査対象範囲
※NDD認定制度(バージョン1.1/2026年2月24日時点)に基づくものです。
※今後は評価基準を整備して、対象範囲を拡充予定になります。
必ず審査対象になるもの
①組織的対策
UI/UXの設計チームだけでなく、商品の中身を決めるマーケティング、ルールを確認する法務、対外的な窓口となる広報、そして品質管理など、あらゆる部門が情報を共有し、手を取り合うことが不可欠になります。
また、各部門がバラバラに動くのではなく、組織横断的に全体を指揮する「責任者(担当役員など)」を任命することが最も効果的であり必要不可欠です。
(審査項目例)
・組織横断的にダークパターン防止にコミットする責任者がいるか。
・ダークパターンが発覚した場合、速やかに修正、改善措置を講じるルールが定められているか。

対象サイトの機能によって審査対象
① クッキーバナー
Cookie(クッキー)は、ユーザーがどのページを見たか、ログイン情報は何かといったデータをブラウザに保存する仕組みになります。
内容がよくわからないまま同意したり、拒否するボタンがわかりにくかったり、形骸的な同意が増えています。
(審査項目例)
・「拒否」や「クッキー設定」など、「同意以外」の選択肢が明示されているか。
・クッキーにより収集される情報や、その情報の利用目的などがわかりやすく記載されているか。

②購入前最終確認画面
オンラインショップなどの最終確認画面では、ユーザーが契約内容を正しく理解し、安心してボタンを押せる状態にすることが、特定商取引法でも求められています。
(審査項目例)
・契約条件などの重要情報が明示されているか。
・定期購入契約の場合、1回限りの購入のように誤認を招く表示になっていないか。

※これら基準はあくまで「ダークパターンを防ぐためのもの」であり、クッキーであれば個人情報保護法や電気通信事業法、購入前画面であれば特定商取引法といった「法律を守っているか」を判定するものではありません。
認定マーク
認定マークは3つあり、認定を受けた審査対象範囲に応じたアイコンと組み合わせてウェブサイトの該当箇所に表示できます。
組織的対策
非財務情報ページ、CSR/ESG報告ページなど
クッキーバナー
クッキー同意管理バナーの画面上
購入前最終確認画面
カート内や決済直前の注文内容確認画面
認定には「BRONZE」「SILVER」「GOLD」の3つのランクが存在します。
継続年数に応じてランクがアップしていく仕組み(例:翌年度の更新でSILVER)となっており、長期的に誠実な運営を続けていることの証となります。
※実際の認定マークについては下記からご確認ください。
NDD認定制度について
審査料
NDD認定制度の審査料は、「大企業」か「中小企業(資本金1億円以下)」か、および「審査対象とする範囲(スコープ)」によって異なります。
初回審査料金は下記になります。
| 審査対象範囲 | 大企業 | 中小企業 |
|---|---|---|
| クッキーバナー(1万ページ未満) | 171,000円 | 57,000円 |
| クッキーバナー(1万ページ以上) | 243,000円 | 81,000円 |
| 購入前最終確認画面 | 153,000円 | 51,000円 |
| 組織的対策 | 90,000円 | 30,000円 |
もし、審査を受けて不合格だった場合は、再審査料を支払うことでもう一度審査することができます。
再審査料は下記になります。
| 審査対象範囲 | 大企業 | 中小企業 |
|---|---|---|
| クッキーバナー(1万ページ未満) | 108,000円 | 36,000円 |
| クッキーバナー(1万ページ以上) | 162,000円 | 54,000円 |
| 購入前最終確認画面 | 90,000円 | 30,000円 |
| 組織的対策 | 54,000円 | 18,000円 |
※審査合格時には、別途年間登録料(中小企業:12,000円/大企業:36,000円)が発生します。
また、認定の有効期限は1年間で、継続して認定マークを表示するには毎年この更新審査を受ける必要があります。その際の費用は下記になります。
| 審査対象範囲 | 大企業 | 中小企業 |
|---|---|---|
| クッキーバナー(1万ページ未満) | 144,000円 | 48,000円 |
| クッキーバナー(1万ページ以上) | 216,000円 | 72,000円 |
| 購入前最終確認画面 | 108,000円 | 36,000円 |
| 組織的対策 | 72,000円 | 24,000円 |
※前年と同じ審査対象もしくは前年より対象が減った場合の更新審査料となり、前年と違う範囲の場合は初回審査を受ける必要あり。
基本的な三本柱
NDD認定制度は、ウェブサイト上でユーザーを惑わせる「ダークパターン」をなくすための仕組みですが、手口が巧妙で判断が難しいケースもあるため、以下の3つの考え方を基本としています。
① ダークパターンの判定に関する認識
・「これはダークパターンである」といった判断は人によって差が出やすく、現時点ですべてを網羅的に審査することは困難であると認めている。
・今後はAI判定ツールの導入や、最新の手口に合わせたルールの更新を行って審査の精度と範囲を拡充する予定。
② 自己審査の重要性
・外部からチェックを受ける前に、まずサイトを運営する企業自身が「自分たちのサイトは誠実か」を確認することをルールにする。
・企業がダークパターンの不使用を誓約することで、社内のモラルを高めるきっかけにする。
③ 誠実な対応と問題解決の姿勢
・認定時のみ基準を遵守し、その後に改悪を行うような悪質なケースに対しては、厳格な対処が定められている。
・ただちに認定を取り消し、消費者庁などの関係機関に通報して制度が悪用されない運用にする。
ホットライン
ダークパターン対策協会では消費者がダークパターンに遭遇した際に、その情報を報告・通報できる外部通報窓口を提供しています。
認定を受けた企業が本当に適切にサイトを運営しているかどうかを、一般ユーザーの目を通じて監視する仕組みとなっています。
①消費者からの通報受付
NDD認定マークを取得している企業のサイトで、「解約しにくい」「意図しない商品がカートに入った」などの問題を発見したユーザーが、ダークパターン対策協会へ直接報告できます。
②認定企業への事実確認
通報を受けた協会は内容を精査した上で、該当する認定企業に対して事実確認や改善の要請を行います。
③是正勧告と認定の取消し
もし重大な違反が認められたり改善が見られない場合は、NDD認定の取り消しが行われる厳しいルールになっています。

最後に
デジタル化が進み、若い人から高齢の方までウェブサイトを通じて情報収集したり、商品購入をする機会が増えています。
ダークパターン対策協会は、「誠実なウェブサイトをNDD認定し、消費者へ判断材料を提供し、安心してインターネットを使えるようにする」ことを目指すべき姿としています。
サイト制作に携わる私たちも、消費者が快適に利用できるようにコンテンツ作りを考えて、こうした基準を「誠実な設計のガイドライン」として活用し、ユーザーに選ばれ続けるサイトを目指していきたいと思います。
参考サイト・資料
NDD認定制度について
ダークパターン対策ガイドライン_NDD認定ガイドライン_ver1.1
NDD認定制度要綱【事業者向け】