はじめに

Oracle AI World Tour Tokyo 2026のジェネラルセッション「AI時代を切り拓くクラウド基盤へ — Oracle Cloud Infrastructure で実現する最先端のIT環境」のレポートをお届けします。
本セッションでは、OCIエンジニアリング担当Ben Scarborough 氏による、OCIの差別化要素とマルチクラウド戦略、さらにEnterprise AIまで含めた最新動向が体系的に紹介されました。

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セッション概要

本セッションでは、OCIが他クラウドと差別化される4つの柱が体系的に解説されました。

  1. インフラストラクチャ基盤:Bare Metal、RoCE v2、高性能ストレージ
  2. 分散クラウド:全リージョンで同一価格・同一SLA・同一サービス、Dedicated Region、Oracle Alloy
  3. マルチクラウド戦略:Azure / Google Cloud / AWS との直接統合
  4. データ&AIソリューション:Oracle AI Database と OCI Enterprise AI

Oracleは、後発クラウドであることをむしろ強みとして捉え、第一世代クラウドのアーキテクチャ的負債を避けた「第二世代クラウド」としてOCIを設計してきたと説明していました。AI時代の要求に応えるために、コンピュート、ネットワーク、ストレージを意図的に設計したという点が印象的でした。

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OCIがAI時代に選ばれる理由

1. 高性能なインフラストラクチャ基盤

OCIの根幹にあるのは「ベアメタルファースト」の思想です。仮想化レイヤーのオーバーヘッドを最小化し、サーバーの性能をより直接的に引き出せる構造になっていることが、AIや大規模データ処理のような高負荷ワークロードへの適性につながっています。
ネットワーク面では、RDMA over Converged Ethernet(RoCE v2)を早期から採用しており、GPU間の大規模分散学習にも適した高スループット・低遅延ネットワークを実現しています。
ストレージは性能と容量を切り分けて設計されており、UIやAPIから必要なIOPSやスループットを柔軟に調整できます。これにより、ボトルネックを抑えつつ、必要な性能だけを使う構成を取りやすくなっています。
さらに、OCIリージョンの立ち上げ自体も自動化されており、新リージョン展開を数週間単位で進められることが、低コスト構造にもつながっていると説明されていました。

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2. 分散クラウド:柔軟な展開モデル

OCIの特徴の1つが、全リージョンで同一サービス・同一価格・同一SLAを提供していることです。リージョンによってサービスや価格が異なる他社との大きな差別化点であり、マルチリージョン設計の計画が大幅にシンプルになります。

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また、以下3つの展開オプションが紹介されました。

オプション 概要
Dedicated Region わずか3ラックから顧客のデータセンター内にプライベートOCIを構築。ソブリンクラウド要件にも対応
Oracle Alloy パートナーがOCIをリブランドして自社クラウドとして運営・提供可能。独自サービスも追加できる
Hosted Dedicated Region Oracleのデータセンター内にDedicated Regionを構築。データセンターの用意が不要で市場参入を加速

日本やアジアでもAlloyの採用事例が進んでいるとのことで、パブリッククラウドを自社ブランドで提供したいパートナーにとって有力な選択肢だと感じました。

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3. マルチクラウド戦略:Oracleを「どこでも」使える

OCIを利用するメリットの1つが、Oracle AI Databaseを他社クラウド上でネイティブに動かせる点です。Microsoft Azure、Google Cloud、AWS上でOracle AI Databaseが低遅延で動作し、各クラウドのAIサービス(Vertex AIやAWS AIサービスなど)との直接連携が可能です。
クラウドIDの統合、ネットワーク、監視ツールも一元化されており、OCI上で動かすのと同じ感覚でOracle DBを他社クラウドで運用できます。

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また、「Multicloud Universal Credits」という新しいモデルも紹介されました。OCI、Google Cloud、AWS などにまたがる利用を、より一貫した形で契約・消費できるようにする考え方で、マルチクラウド運用時の商流や予算管理の複雑さを下げる狙いがあるようです。

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4. データ&AIソリューション:プライベートデータでAIを動かす

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「自社の非公開データからビジネス価値を引き出す」というゴールに向けて、2つのサービスが紹介されました。

  • AI データベース
    • ベクトルデータをデータベース内にそのまま保存できる
    • Apache Iceberg など外部データも、コピーせず活用しやすい
    • テーブル・行・列・セル単位で細かくアクセス制御できる
    • 自社データを使ったAIエージェント開発も支援する
  • OCI エンタープライズ AI
    • AIモデル、AIエージェント、AIガバナンスを統合した企業向けAI基盤
    • モデル利用、エージェント実行、ガバナンスをまとめて扱える
    • ガードレールやセキュリティを備え、企業向けAIアプリを構築しやすい

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さいごに

本セッションを通じて、OCIが単なる1つのクラウドではなく、AI時代のエンタープライズワークロードを見据えて設計されたプラットフォームであることが伝わってきました。特に印象的だったのは、「スケールアップ(大規模AI学習)」「スケールダウン(3ラックから始められるDedicated Region)」「スケールアウト(他社クラウドとの統合)」を、共通の基盤思想で説明していた点です。OCIの差別化は、個別機能の多さではなく、アーキテクチャ全体の一貫性にあるのだと感じました。
インフラエンジニアの立場から見ると、均一な価格・SLA・サービスセットは、設計や利用コストの複雑さを減らせる魅力的な要素です。また、すでにOracleデータベースを活用している環境であれば、Oracle AI Databaseやマルチクラウド統合は、既存資産を活かしながらAI活用を前に進める現実的な選択肢になり得ると感じました。