2026年6月26日(金)、幕張メッセで開催された「AWS Summit Japan 2026」。

その中でも屈指の注目度を誇った Anthropic ブースにて、KDDIアイレットの 

gaipack本部 AIDD技術部 Platform Engineering室 室長 鳥居 建太が登壇しました。

登壇者プロフィール 鳥居 建太(Kenta Torii) 

KDDIアイレット株式会社 gaipack本部 / AIDD技術部 / Platform Engineering室 室長 

エンジニアとして6年間の開発・品質管理を経て、現在は Platform Engineering室の責任者として、基盤の標準化と開発者体験の向上を推進。

テーマは、『Skills の自己改善及び進化のループ構築の未来』。

 急速に進化する AI 時代において、これまでの開発支援の常識を覆す「自走し、自己進化する共通基盤」の具体的なアプローチを提示したセッションの様子をレポートします。

▪️AWS Summit Japan とは?

アマゾン ウェブ サービス(AWS)が毎年世界各地で開催している、クラウドと AI イノベーションの最前線を体験できる日本最大級のカンファレンスです。

最先端のテクノロジー動向や、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる実践的な事例が一堂に会する場として、ビジネスの未来を占う上で極めて重要なイベントとなっています。

▪️イベント会場の様子

会場内でも格別の注目を集めていた Anthropic ブースには、セッション開始前から多くのビジネスパーソンが詰めかけ、周囲の通路が一時騒然とするほどの盛況ぶりを見せていました。

当日の盛況ぶりはこちら!

▪️セッションレポート:AI 時代に求められる「自己進化ループ」とは

「苦労して作った仕組みが『相対化』されるジレンマ」

これまでプラットフォームエンジニアリング(PE)の分野では、開発者が迷わず安全に動けるよう、環境構築の自動化(Scaffold)やマニュアルを1つの Web 画面に集約する「社内ポータルサイト(Internal Developer Portal:IDP)」の構築が主流でした。

しかし、高性能な最新 AI が次々と登場する環境下では、人間が AI の制限を補うために作った仕組みは、すぐにその価値が相対化されてしまい、結果として、変化に伴う修正やメンテナンスコストばかりが膨らんでしまうという課題を、同社のチームも実際に経験してきたと言います。

2. ユーザー行動の変化

さらに、システム側の課題だけでなく、現場のエンジニアの行動自体も大きく変わっていると指摘します。

手元に優秀な AI アシスタント(CLI や IDE、チャット)があれば、開発者はそこから動くことなくその場で疑問を解決できます。わざわざ「社内サイトを開いて検索する」という従来のステップを踏む必要性がなくなるため、ポータルサイトの利用頻度自体が自然と減少していくという背景を挙げました。

「画面に情報を集約する」という従来のアプローチ自体が、 AI が情報を横断検索する時代の潮流に合わなくなっているのが現状です。

▪️AI 時代の正解:AI と人間が協力して育てる「自己進化ループ」

そこで同社が提示したのが、人間が手動で AI に教え込むのではなく、システムが自動で AI の『Skills(スキル:組織のノウハウを詰め込んだ、 AI 専用の動的な機能・マニュアル)』を洗練させていく仕組み(Skills ループ)です。

技術的な正確性と、運用の持続性を両立させたこのループは、以下の4つのステップで構成されています。

  • 1. データの蓄積と観測(データ層の確立) 

エンジニアが手元の AI(Claude Code など)で行ったエージェント実行、コード生成、ファイル操作などの利用ログ(テレメトリデータ)を、

OTel(OpenTelemetry) ➔ Databricks ➔  Langfuse の連携によって、裏側で自動的に一元収集します。

  • 2. AI による AI の自動評価(LLM-as-a-judge)

 集まった利用ログをもとに、別の採点用 AI (LLM-as-a-judge)が成果を自動で評価します。このとき、採点基準(ルーブリック)自体も、 AI が失敗パターンを分析して自動でブラッシュアップしていく仕組みを取り入れています。

  • 3. GitHub Issue への自動提案

 「このノウハウ(Skills)のここを直すともっと良くなる」という改善点を AI 自身が発見し、課題管理システムである『GitHub Issue』を自動で起票(提案)します。

  • 4. 人のレビューを経て再配布(Human-in-the-Loop) 

最終的な方向性の確認や修正案の承認は人間(エンジニアやマネージャー)が行います。承認された「新しいスキル」は、 devcontainer-feature 経由などを通じて、即座に各案件やチームへ自動で再配布されます。

この「AI が使い勝手をチェックし、 AI が課題を見つけ、人間が最後に承認・修正する」という協調サイクル(Human-in-the-Loop)を回すことで、属人化を防ぎ、組織全体の AI 活用レベルを継続的に底上げすることが可能になります。

▪️プロの視点:この発表がビジネスにもたらす価値

本セッションが示唆しているのは、単に「便利な AI ツールを入れて開発が速くなった」という表面的な事例ではありません。

「AI の進化スピードに振り回されないために、組織のプロセスそのものをデータ化し、仕組みとして AI を自律的に賢くしていくプラットフォームを作る」という本質的な転換です。

個人のスキルに依存しがちな AI 活用を、組織全体の持続可能な資産へと変貌させるための、非常に現実的かつ先進的なアプローチであると言えます。

▪️まとめ

これまで、個別最適だった社員の AI 活用を、データ基盤の上で循環させることで、「使えば使うほど勝手に組織が賢くなっていく永続的な仕組み」に変えることができます。

組織そのものを進化させる、次世代のプラットフォームの姿を提唱し、セッションを締めくくりました。

印象的だったのは、この日、2回の登壇機会がありましたが、両セッションも途中で入場規制が入るほどの熱気ぶりだったことや、真剣にメモを取る方や写真をとり、途中退出者がほとんどいなかったことです。改めて、Claude や AI 駆動開発の可能性を大きく感じることができました。

▪️最後に

生成 AI を活用した開発効率の極大化、または AI 時代に対応した次世代の共通基盤構築を検討されている企業の方は、ぜひ gaipack にご相談ください。

AI 統合ソリューション「gaipack」