株式会社イトーキ様は、創業130年を超える老舗企業。事務機器を中心に優れたプロダクト/サービスを次々と生み出し、オフィスの発展とともに人びとの働く場を支え続けてきました。

近年、働き方の変革が急速に進む中、同社は長い歴史に裏打ちされた高機能・高品質な製販一体の強みにデータドリブン経営を掛け合わせた、新たな価値創造にチャレンジしています。

その取り組みの一つが、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社(以下、Google Cloud)のサポートのもとでの、既存サービスのデータを統合するプラットフォーム「ITOKI OFFICE A/BI」の開発と、それを用いたデータ分析サービス「Data Trekking」のローンチ。同プラットフォームのインフラ構築、アプリケーション開発、Web ページのデザインをアイレットが支援させていただきました。

本プロジェクトの背景にあった課題や狙い、取り組みの成果について、株式会社イトーキ ソリューション開発部(取材当時) 藤田浩彰様と Google Cloud 法人営業部 廣瀬遼平様、アイレット 営業部 石田裕城にインタビューを行ないました。

株式会社イトーキ
藤田 浩彰様
ソリューション開発部

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
廣瀬 遼平様
法人営業部

アイレット株式会社
石田 裕城
営業部

サービス提供を通じて蓄積されたビッグデータに、組織の働き方を革新するヒントがある

— 本日はよろしくお願いいたします。はじめに、イトーキ様の事業内容を簡単にご説明いただけますか?


当社は、1890年の創業以来、ミッションステートメントに『明日の「働く」を、デザインする。』を掲げ、オフィス家具、物流機器、ICT・映像音響機器、建材内装設備、ホーム家具など幅広いラインアップでさまざまな「空間」「環境」「場」づくりをサポートしています。

また、近年は健康経営や働き方改革が求められる中で、当社はオフィス家具メーカーとしての実績に加え、上流のオフィス設計や構築、さらにはデータやテクノロジーを活用した、新たな働き方やオフィス空間を世の中に提案・提供しています。このデータ・テクノロジー領域における取り組みを強化していくことを目的として、2022年に Google Cloud との JBP(ジョイントビジネスプラン)に合意しました。


— Google Cloud とJBPに合意した理由を教えてください。


Google Cloud は最先端のクラウド技術を有することに加え、革新的な働き方を自ら実践されている企業でもあります。その理念や考え方に深く共感し、連携することでポストコロナ時代の「働く環境」づくりをリードできると考えたのが JBP 合意の理由です。


当社としても、イトーキ様が掲げている“明日の「働く」を、デザインする。”というミッションや、心身の健康を維持しながらオフィスの生産性を高め、創造性を発揮してイノベーションを生んでいくという考え方に共鳴するものがありました。


— JBP の具体的な取り組みを教えてください。


「新スマートオフィス製品の開発」、「Google Cloud の AI 製品によるイトーキオリジナルデータの分析・活用」「両社間の人材交流」など、いくつか協業テーマを設定してプロジェクトを進めています。長期的な戦略を描いて取り組むプロジェクトがある一方、机上の議論ばかりにならないよう、まずは両社の強みを掛け合わせてスピーディに具体化できるものに取り組む必要もありました。その一つが、今回ご紹介するデータ分析サービスになります。


— イトーキ様がデータ分析サービスの開発に着手された背景には、どのような狙いがあるのでしょうか?


当社は経済産業省との共同研究で健康経営に貢献するオフィス環境の調査を進めておりまして、その成果は2015年に「健康経営オフィスレポート」として公開されています。この活動を通して得られた知見をベースに、コロナ禍をきっかけに浸透した在宅勤務などの新たな観点を加え、2021年に組織と個人のパフォーマンス診断サービス「Performance Trail」をリリースしました。さらに同年、IoT センサーを活用しオフィス内での活動を見える化する位置情報提供サービス「Workers Trail」もリリースしています。

いずれも組織における「働き方」のイノベーション創出に寄与するサービスとして業種問わず多くの企業・団体様にご利用いただいております。そして、これらのデータを有効活用することで、お客様にさらなる価値をご提供できると考えました。そこで、Google Cloud と協力し、2つのサービスのデータを組み合わせたデータ分析サービスの開発に着手したのです。

限られた時間の中で、共通認識を作りながら優先度の高い改善施策を実行。正式ローンチに向けてプロジェクトを大きく前進させる

— そのような中で、当時どんな課題を抱えていたのでしょうか?


パートナー企業様と PoC でプロトタイプを作成したのですが、テストマーケティングに向けて機能改善を進めるにあたり、エンジニアの方のリソース確保が難しい状況にありました。また、私たちにとっても新しいチャレンジングな取り組みになるため、従来のウォーターフォール型の開発ではなくアジャイル的にプロジェクトを進めていただけるパートナーを必要としていました。そこで、Google Cloud にご相談したところ、信頼できるパートナーとしてアイレットさんをご紹介いただいたのです。


— 数あるパートナーの中から、アイレットをご紹介いただいた理由を教えてください。


藤田さんからもお話しがあったように、本プロジェクトはスピード感や柔軟性を持ちながら新規サービスの創出にチャレンジしていくことが重要でした。アイレットはスピードに対するこだわりやアジャイル開発の実績、そして新しいことに対するチャレンジ精神を大切にされている企業で、それを体現する素晴らしいメンバーがいます。実際にアイレットさんと長年のお付き合いがあるパートナーチームにも相談したところ、アイレットさんの高い技術力やクラウドに対する深い知見があることはもちろん、スピード感や難しい壁を超える突破力、お客様と寄り添い伴走するスタンスが今回のプロジェクトに最適だとお墨付きをもらいました。


— 最初にイトーキ様からお声がけいただいたとき、アイレットはどのような印象を持ちましたか?


まず、先進的な技術を使いながらデータドリブンなオフィス構築を目指すという新しいチャレンジにとてもワクワクしました。一方、当社としても他企業様が作成したプロトタイプを引き継ぐケースが比較的珍しかったのと、テストマーケティングの日程が迫っていたので、すぐに社内のリソースを確保した上で、現状の情報のキャッチアップや理解を早急に進めなければならないと考えました。


ドキュメントも整っていない状態から引き継いでいただいたので、一つひとつの情報を読み解くのが大変だったと思います。最初は「ゼロベースで作り直さないといけないかな」と心配していたのですが、石田さんを中心にそのまま使える部分と立て直す部分、その優先順位も含めて迅速に整理していただいたので、とても安心したのを覚えています。


よかったです。今回は開発済みの ETL 処理を読み解きながら、パフォーマンス改善に必要なコードの修正・追加などを洗い出し、限られたスケジュールの中で優先度の高い改善施策を特定していきました。また、データの分析機能についてもプロトタイプで開発された多数の機能の中から必要なものを厳選し、UI/UX を洗練させることに注力しています。


こちらからお伝えした要望を実行するだけでなく、「このやり方のほうが良いと思うんですけど、どうですか?」とか「こういうパターンが考えられますが、どれが良いと思いますか?」といった形で能動的に提案や確認をしてくださったので、非常に安心感を持ってプロジェクトを進めることができたと思います。


— プロジェクトを進めるにあたって工夫したことや、心がけたことはありますか?


このプロジェクトのコンセプトはデータを活用することでお客様に価値を提供していくことなので、直近のことだけでなく将来の方向性も視野に入れながら構成を設計するようにしました。

また、藤田様が社内の承認を得るときのことや、イトーキ様がエンドユーザーのお客様にご説明するときのことも考慮し、できるだけ図などを用いて第三者に分かりやすく説明できるような資料をお渡しするように心がけました。


私はもちろん、社内の他のメンバーもクラウドの構成図がパッと頭の中でイメージできる状態ではなかったので、まさに図解した資料をご用意いただけたことで、社内での意思疎通やコミュニケーションがスムーズに進められました。


Google Cloud では、製品に関する勉強会を開催するなど、技術的な部分に関する後方支援をさせていただきました。また、Google Cloud Marketplace や営業チームを通して、販路拡大という面でサポートさせていただければと考えております。


Google Cloud の集客力や経済圏は本当に素晴らしいので、ぜひコラボレーションさせていただきたいと思います。


— 最後に、3社それぞれの今後の展望を教えてください。


ローンチ後も引き続きサポートをさせていただくとともに、さらなるサービスの高度化という側面でも当社がお力添えできることがあると考えています。ぜひ3社の技術力やノウハウを掛け合わせながら、新しいオフィスの未来を作っていきたいですね。


まずはアイレットさんのご協力のおかげで、データ分析サービス「Data Trekking」を無事にローンチできたことに感謝しています。そして、本サービスは私たちが提供しているさまざまなオフィス向けソリューションの幹となる存在だと認識しておりまして、今後は2つのサービスだけでなく他のサービスにも展開していきたいと考えています。テクノロジーの進歩は止まることがありませんので、一度作って終わりではなく、新しい技術に積極的にチャレンジしながら、サービスをどんどんアップデートしていく必要があると思います。引き続き、皆様が一緒に取り組んでいただけることを心強く思っております。


今後の“やりたいことリスト”のようなものを拝見させていただいたのですが、その豊富なアイデアに驚きました。オフィス家具との連動なども含めて、非常にワクワクする未来を描いていらっしゃると思いますので、その未来の実現に向けて、3社の強みを最大限に発揮できるように取り組んでまいります。引き続き、よろしくお願いいたします!