UXデザインは、見た目の良さや使いやすさなどの改善だけでなく、ユーザーとの良好な関係を築き、ビジネスを持続的に成長させるための重要な要素になりつつあります。
この記事では、UXデザインが重要視されるようになった背景やビジネスにもたらす価値、ビジネス成長につなげるためのポイントについて解説します。
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いまさら聞けないUXのキホン
UXデザインが重要視されるようになった背景
近年、UXデザインは、ビジネスにおいて欠かせない要素として注目されてきています。なぜ、UXデザインが重視されるようになってきたのか主な背景を3つご紹介します。
1. ユーザー主導の時代への変化
インターネットやSNSの普及により、ユーザーは自ら情報を収集・比較・判断して、商品やサービスを「自ら選ぶ」時代へと変化しました。多くの選択肢がある中で、ユーザーは自分のニーズに合った「体験」そのものに価値を感じ選択の基準としています。優れたUXは、ユーザーに感動や満足といった感情的な価値を提供し、ユーザーの信頼や共感を得るために欠かせない視点となっています。
2. 市場競争の激化
市場にはサービスやプロダクトが急増し、機能面だけでは差別化が難しくなってきています。ユーザーは「使いやすさ」や「魅力的な体験」を重視し、UXの質が低いと他社のサービスに乗り換える傾向があります。このような背景から、UXが生み出す、使いやすさや楽しさといった価値が、製品やブランドの評価を左右する重要な要素となっています。
3. デジタル技術の進化とタッチポイントの多様化
近年、デジタル技術の急速な進化により、ユーザーが利用するデバイスやプラットフォームは多様化しています。スマートフォン、タブレット、スマートスピーカー、ウェアラブル端末など、ユーザーとの接点が増えることで、それぞれのシーンに最適なUXの提供が必要になっています。さらに、デジタルネイティブ世代の台頭により、ユーザーのデジタルリテラシーが向上し、洗練された体験や高品質なデザインへの期待も高まっています。こうした中で、UXデザインは、ユーザー満足度の向上やロイヤリティの強化につながる重要な要素となっています。
UXデザインがビジネスにもたらす価値
UXデザインは、ユーザー視点に立ったプロダクトやサービスの設計手法として、今やビジネスにおいて欠かせない存在となっています。ここでは、UXデザインがもたらす主な5つの価値について解説します。
1. 顧客満足度の向上
優れたUXは、ユーザーが目的をスムーズに達成できるようサポートし、ストレスの少ない快適な体験を提供します。これにより、ユーザーに「便利」「楽しい」「また使いたい」といったポジティブな感情を与え、顧客満足度が向上します。
満足度の高いユーザーは、リピート利用する確率が高まるだけでなく、ポジティブな体験をSNSや口コミで共有することで、新たなユーザーの獲得にもつながります。
2. コンバージョン率の向上
UXデザインは、Webサイトやアプリにおけるコンバージョン率にも大きく影響します。商品購入や資料請求といったゴールにたどり着くまでの導線をシンプルかつ分かりやすく設計することで、離脱を防ぎ、コンバージョン率を高めることができます。逆に、煩雑なナビゲーションや不親切な入力フォームなど、UXに課題がある場合は、ユーザーの不満や離脱を招く要因となります。
3. ブランドイメージの向上
優れたUXは、製品やサービスの価値を高めるだけでなく、企業やブランドに対する好感度や信頼感を高めます。「この会社の製品はいつも使いやすい」「このブランドは信頼できる」といったポジティブな感情が、企業やブランド全体の印象を高め、長期的なブランド価値の向上につながります。
4. 開発コスト・運用コストの削減
UXデザインを開発の初期段階から取り入れることで、ユーザーのニーズに合わない機能の実装やUIの手戻りを防ぐことができ、開発効率を大幅に向上させます。また、使い勝手の良いプロダクトは、ユーザーが直感的に操作できるため、カスタマーサポートへの問い合わせが減少し、運用コストの削減にもつながります。
5. 競争優位性の確立
機能や価格だけでは差別化が難しい現代において、「どれだけ使いやすいか」「どれだけ心地よい体験が得られるか」は、ユーザーの意思決定に大きな影響を与えます。UXを強化することで、競合他社との差別化を図るだけでなく、ブランドへのロイヤリティ向上やポジティブな口コミの拡散、新規顧客の獲得など、持続的な競争力を生み出すことができます。
UXデザインをビジネス成長につなげるためのポイント
UXデザインを効果的に導入し、ビジネスの成長へとつなげるためには、いくつかの重要な視点や実践が必要です。その主なポイントを4つご紹介します。
1. ユーザー中心の視点を徹底する
UXデザインの根幹は「ユーザー視点」にあります。ユーザーリサーチ、ペルソナ設計、カスタマージャーニーマップなどの手法を活用し、ユーザーの課題やニーズを深く理解することが重要です。ユーザーの声や行動をプロダクトやサービスに反映することで、顧客満足度やロイヤリティの向上が期待でき、結果としてビジネス成長の促進につながります。
2. 継続的な改善サイクルを確立する
UXデザインは一度実施して終わるものではなく、ユーザーの変化や市場環境に応じて、継続的に改善していく必要があります。プロトタイプを用いたユーザーテストやA/Bテスト、ユーザビリティテストを通じて、実際の利用データに基づいた改善を行います。改善サイクルを確立することで、ユーザー体験を常に最適化し、顧客ロイヤリティの向上と持続的なビジネス成長を実現できます。
3. ビジネスゴールとUXを結びつける
UXデザインの目的は、ビジネス成果と結びつけることで、企業にとって意味のある投資になります。たとえば、購入率の向上、離脱率の低下、会員登録の促進、カスタマーサポートコストの削減など、具体的なKPIとUX施策をリンクさせることが重要です。
UXとビジネスゴールの接点を明確にすることで、ROI(投資対効果)の高いUX施策を実行でき、経営視点からも説得力のある取り組みとなります。
4. 部門横断的な取り組み
UXデザインの実現には、デザイナーだけでなく、エンジニア、マーケティング、営業、経営陣といった多部門の協力が不可欠です。部門を超えた連携体制を築き、ユーザー中心の思考を全社的に共有することで、UXへの理解と取り組みが文化として根づきます。このような部門横断的な協働により、UX改善が継続的に推進され、長期的なビジネス成長を支える基盤となります。
まとめ
UXデザインは、顧客満足度やコンバージョン率、ブランドイメージの向上、さらにはコスト削減など、さまざまな面でビジネスに価値をもたらします。ユーザーの体験を最優先に考え、ユーザーにとって価値のあるサービスやプロダクトを提供することで、持続的な成長を実現することが可能になります。
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